よくみれば雑食

よくみれば雑食

雑食系男子が日々の出来事やお役立ち情報、気になる話題など幅広く書いてます

友達がインド人と一緒に夜の街に消えていったときの話

f:id:ricaldent1990:20181002225253j:plain

 

外国人に道を訊ねられる恐怖が凄まじい。頼むから、ほんの少しだけでいいから日本語を喋る努力をしてくれ。

え?世界共通語ですけど?何か問題でも?みたいな顔して聞いてくるアレ。ホント怖い。

特に中学英語の初期でつまづいた拙者のような純日本人にとって、不意打ち英会話コミュニケーションは生き地獄以外の何物でもないわけで。

学校の授業もいっつも理解不能で、テストも赤点ギリギリでなんとか踏ん張るみたいな状態で。リスニングの○×問題は頭のいいひとのほうに耳の全神経をかたむけて、ペンの音でどちらの回答をしたか聞き分けるという頭脳派のカンニングで乗り切ってきたわけで。『シャー』っていう音と『シャッシャッ』っていうペンが走る音で判断するみたいな。これ伝わるかなぁ?

そんなわけで街中で急に「エクスキューズミー」なんて声をかけられようものなら恐怖のあまり死に至る危険性もあるんですけど、稀に予想外すぎて恐怖すら感じる暇がないことがあったりする。

ある日、英語がそこそこできる友人と都内を歩いていた時の事。図ったかのように背後からエクスキューズミーしてくる声が聞こえてきた。

夕飯を済ませてじゃあ帰ろうかってときにエクスキューズミーってくるわけです。お腹いっぱいで幸せな気分なのにそれをぶち壊すかのような恐怖の呪文、エクスキューズミー。狙ってやっとんのかと。

しかし、普段なら心臓がキュッとなるエクスキューズミーだけども、今回は安心感が違う。なぜなら英語がそこそこできる友人が一緒にいるからだ。

今日は胸を張って対応できる。大船に乗ったつもりで対応してみせよう。ドンと来い迷子外国人!

そうして意気揚々と振り返ると、そこに立っていたのはインド人だった。

 

ハローはなんとかなるけどナマステにはお手上げ

声をかけられたんです。インド人に。

なんでエクスキューズミーって言ったのか。どうしてエクスキューズミーだけ頑張って覚えてきたのか。だったら最初から「すいません」くらい覚えてこれなかったのか。一瞬でいろんな思考が脳内を駆け巡る。

だがしかし、まだ慌てるときではない。エクスキューズミーと来ればもしかしたら英語はペラペラなのかもしれない。英語さえ喋れればこっちのものだ。なぜならこちらには英語がそこそこできる友人がいるからだ。

それにカレー屋のインド人たちも日本語がかなり達者じゃないか。普通に会話できるしオヤジギャグとか言うやつもいるし、よく考えたらやつら日本語めちゃめちゃ上手じゃん。

普通に「カラサハ?フチュ?(ふつう?)ノミモノハ?ラッシィ?(ラッシー?)ハイ、オカイケイ800円デス。アリガトネー。」とか言ってるじゃん。たぶん大丈夫だよ。

そうだよ!臆することは何もない!ドンと来いインド人!

 

 

インド人「मैं दिशाओं से पूछना चाहेंगे।」

 

 

私&友人「(((゜ω゜;;;)))」

 

あ、これダメなやつだ。どうしようこれ。完全にあっちの言葉だよ。カレー屋で本場の雰囲気を出してくるぶんにはこちらにもそれ相応の覚悟ができてるから100歩譲って許せるけど、油断してるときに街中で本場の言語をブッ込んでくるのはルール違反でしょうよ。

ここが日本のど真ん中であるということも、世界共通言語が英語だということもおかまいなしの100%混じり気無し、純正の(おそらく)ヒンディー語。

もうね、なす術が無いわけ。お手上げなわけ。このままわけも分からずカレー飲み放題とか連れていかれても従うしかない状況なわけ。

んでもってインド人は呆気に取られているこちらのことはお構いなしに(よくわからんけどきっと)ヒンディー語でものすごい勢いで捲し立ててきてて物凄く怖い。

 

そんな逃げるに逃げられないこの状況にどうしたものかと立ち尽くしていると、徐々に友人の顔つきが穏やかになっていくではないか。

どうやら友人が悟りを開き始めたようで、全く理解できていないであろう(たぶん)ヒンディー語に耳を傾けてウンウン頷き始めたではないか。

あれ?こいつもしかして考えることをやめたな?そう思った次の瞬間、

 

「どうせこのあとちょっと寄り道してく用事もあるし、道案内してから帰るわ。」

 

友人がとうとうトチ狂った。

これはこいつの悪いクセで、面倒なことに直面すると考えることを放棄してその場の流れに身を任せる習性があるのだが、よりによってコミュニケーションすらまともにできないこの状況でもまさかこの習性が出てくるとは…。

 

「カザマは先帰っててー。そんじゃオッチャン、行こっか。」

 

「उह, एक अच्छा आदमी!」

 

こうしてただただ戸惑うしかない私を置いて、友人とインド人は夜のネオン街へ消えていった。

 

 

後日談、というか今回のオチ

あのあと、友人からの連絡によると「なんか知り合いがやってる店に行きたかったらしい。一緒に飲もうみたいなこと言われたから1杯奢ってもらったわ(笑)」とのこと。あと別れ際に「アリガトー」って言ってたらしい。日本語喋れるじゃねぇか。

そんなこんなで、英語力がそこそこあるだけじゃなく、コミュ力までMAXだった友人を尊敬するそんな出来事だった。