【ドラマ感想】『ゆうべはお楽しみでしたね』はもしかすると原作を知らないほうが楽しめるのかもしれない

f:id:ricaldent1990:20190204214408j:plain

出典：MBSドラマイズム「ゆうべはお楽しみでしたね」 | MBS

毎週のお楽しみになっている本作なんですが、第４話が終わった時点で気になっていることがある。それは、

「あれ？これもしかして原作を知らないほうが楽しめるな？」

ということである。

ではそれは具体的にどういったことなのか。今回の記事ではそのあたりを語りたいと思います。

どうぞよろしく。

原作を知っているからこそグッチャグチャなストーリーに困惑

まず前提として、前回の記事では「原作を読んでるといろいろと見比べられて、たーのしー！（フレンズ並みの感想）」と述べたのだが、その感想自体は第５話の放送を控えた今でも変わっていない。

マンガのセリフを一字一句違わずドラマのなかで会話してみたり、意外と背景や小物の再現度も高く、原作を読んでいるとニヤリとできる部分が散りばめられていてスタッフの原作愛が伝わってはくる。

f:id:ricaldent1990:20190204214716j:plain

これ素で楽しんでるよね

一方、原作と見比べられるがゆえに回を追うごとにカットされるストーリーと、時系列がグッチャグチャになる違和感と、クセが強くなりすぎてしまっているキャラの不憫さに雲行きが怪しくなってきた感は正直否めないというのが現時点での感想である。

例えば、カットされるストーリーというのは大半がドラクエⅩに関する部分なのだが、原作における物語の主軸は「ドラクエⅩ」と「たくみとみやこ＝パウダーとゴローの関係性」と「2人を取り巻く周囲の環境」の３本柱であると思っている。

これは前回の記事でも言及していて、個人的にはかなり重要視している部分なのだが、どうやらドラマ版では「たくみとみやこの恋模様」を主軸に据え、「２人の周囲の環境」は申し訳程度に描く程度で、「ドラクエⅩ」に至ってはもはや存在感が薄くなりすぎていて、これもうドラクエがテーマじゃなくてもいいんじゃねぇかと思わざるを得ないのだ。

よりにもよって主題にも掲げているドラクエの要素があれほどまでに薄まってしまうのはきっと、「30分ドラマであること」「一般受けするように寄せたこと」などなど大人の事情が絡んでいるのだろうということは理解しているが、それならそれでいっそのこと大幅に改編してオリジナルストーリーにシフトしてくれたほうが良かったんじゃないだろうか…。そういう意味では『モテキ』はなかなか上手だったよなぁ。

これは時系列が前後する（というかグッチャグチャになっている）という点にも関係してくることで、完全オリジナルに向かうのであればまだしも、なぜか可能な限り原作に沿ってストーリーを進めちゃうもんだから原作を知っている私からすると違和感があちらこちらある問題作に見えてしまう。

そのうえ、とにかく登場人物のキャラ付けが濃すぎてストーリーの邪魔になっているのはいただけない。

宮野真守の顔芸も始めのうちは面白かったけれど、毎週おなじようにアドリブ（？）を入れることで生まれる一瞬のあの間がとにかくテンポを悪くさせるし、もはやアニメイトのシーンの主役は宮野真守になってしまっている。

演技も上手いし、ルックスもいいし、個人的にも大好きな声優で応援したいのは山々なのだが、あのふざける感じはたまに見るから面白いのであって、ドラマでふざけられないぶんは声優イベントで思いっきり発散して観客を楽しませてあげたらいいと思う。（仮にもし演出側から「毎話ふざけてください」と指示が出ているのであれば、その演出家はセンス無いから一度勉強し直したほうがいい）

そして筧美和子演じるあやのは、原作ではあんなバカそうなビッチじゃありません。恋愛体質ではあるけれどどこかしたたかで明るいみやこの良き友人です。キャラ崩壊しすぎ。もうメチャクチャよ。あと筧美和子はいつになったら演技が上達するの？

といった具合に、原作未読であれば、とあるオンラインゲームをきっかけに出会った凸凹カップルとゆかいな仲間たちの緩い物語を頭からっぽで楽しめるのではないかと思うが、原作既読組は今のところ女神・本田翼の可愛さにウットリしつつパウの声に「くぎゅぅぅぅぅぅぅ！」と悶絶し、サラッと入る原作再現にニヤニヤするのが正しい楽しみ方なのかと思う。ストーリーは真面目に追ったらダメだ。