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【映画レビュー】『ニセコイ』が酷評されている理由がわかった【ちょっとネタバレ】

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出典:映画「ニセコイ」公式サイト

 

友人が「キュンキュンするから絶対見て!」と言うもんだから、2018年度最大規模の見える地雷こと実写版『ニセコイ』を上映終了間近の映画館ですべりこみ鑑賞してきました。

果たしてカザマはキュンキュンできたのか?

答え合わせは以下の感想からご確認をお願いします。どうぞよろしく。

 

まずはあらすじから…

極道・集英組の若頭である一条楽(中島健人)は、幼いころに出会ったとある少女とカギとペンダントを交換する。

そしてその少女と「もしもまた再会することができれば(カギとペンダントが合わさることがあれば)、結婚しよう」と約束をするのだった。

時は流れ、高校生になった楽は極道の家に生まれた自身の運命を嘆き続けていたのだが、そんなある日、楽は校門を飛び越えてきたとある金髪の美少女の飛び蹴りの餌食になる。

散々な目にあったと嘆きつつ教室に向かうと、なんと転校生として紹介されたのは先ほど自分に飛び蹴りをしてきたあの金髪の美少女ではないか。

運命の出会いを果たした桐崎千棘(中条あやみ)と楽であったが、その夜、集英組の頭である父から集英組がビーハイブというギャングと抗争状態に発展してしまったことを伝えられる。

この抗争を収める方法として、ビーハイブのボスの一人娘と恋人関係になることで和解を図る作戦を父から半ば無理やり押し付けられる楽だが、そのビーハイブのボスの一人娘が、なんと他ならぬ千棘なのであった。

期限付きの偽りの恋人関係を結ぶことになった楽と千棘は果たして…!

というのが本作のおおまかな導入部分。

 

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ハーフという設定に寄せすぎて別人になってない?

 

原作はジャンプ漫画というだけあって、少年誌の王道のラブコメ的展開というか、中学生男子が一度は妄想するようなトンデモ展開というか、頭の上からいちごパンツをはいた美少女が降ってくるというブッ飛んだ設定で平成初期生まれの男子たちのハートを射抜いた、伝説のラブコメ『いちご100%』と通ずる部分があって何とも懐かしい気分になった。

青春のど真ん中を象徴するマンガだったけど、設定は割とリアリティ高いから実写映画化(もしくはドラマ化)されても凡作くらいにはなると思うんだけどなぁ…。ワンチャン、『今日から俺は!』パターンで全く期待されてなかったのに大金星とっちゃったりして。あ、でもお色気シーンがないいちご100%なんてイチゴの乗ってないショートケーキと同じようなもんだし、お色気シーン満載にしたらR-15指定なうえにF層の指示が壊滅的なことになって爆死まったなしなっちゃうか。意外とバランスが難しいなぁ…。

……あれ?なんの話してたっけ?

 

拭いきれないコスプレ感

さて、ニセコイに話を戻すと、どうしてもスルーできないのは「コスプレ大会にしか見えない」という問題についてだ。

率直な感想として、衣装とカツラがあまりにもチープで壮大なコスプレお披露目会になってしまっていた感が否めない。

こればっかりはマンガの実写版なんだから仕方ねーだろと言われればそれまでなんだけど、モブの男子生徒たちが普通にそこらへんにいそうな男子高校生だっただけに余計に中島健人が浮いていたし、女子生徒に関してはドン・キホーテで売ってそうなコスプレ衣装を着ていて何かの企画ものを見せられている気分だった。

そのくせ中途半端に現実世界の情景とかを絡めるから、余計に登場人物たちのルックスに違和感を覚えるというか…。おまえその見た目で何を言うとんねんみたいな。

 

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なーんかこう…登場人物が浮いてるんだよなぁ…

 

そんななか、ニセコイを観た人が高評価しているのが幼き頃に約束を交わした女の子である小野寺小咲を演じた池間夏海と、千棘のボディーガードであり楽の邪魔をする謎の男・クロードを演じるDAIGOなのだが、この2人に高評価が集まるのは納得というか必然というか。

というのも、小野寺はキャラの性質上、ごく普通の女の子でありブッ飛んだ見た目もオーバーなリアクションも求められない立ち位置であるから。そのうえ、女優経験の浅い池間夏海が見せる初々しさが見事に小野寺小咲のキャラクターにマッチしていたという点も挙げられる。

また、DAIGOに関してはキャラクターになりきることに振り切っていた点が高評価に繋がったんじゃないだろうか。もちろんキャストはみんなキャラクターになりきっていることに間違いはないんだけれど、普段バラエティー番組でアホっぽく映っているウィッシュおじさんが超真面目にキャラクターを演じていることでギャップが生まれ、自然と魅力的なキャラクターに見えてくるという点がポイント高めの要因だったにちがいない。DAIGOって頭の回転も早いし器用なんだよね。

当然、私もこの2人については同様の感想を抱いている。小野寺さんの可愛さたるや。彼女のあの踏ん切りが悪い感じがいかにもこう、ラブコメっぽくて、あのー、とにかくもう尊い!! このじれったい感じ伝わるかなぁ。

DAIGOもコメディ要因として十二分に役目を果たしたと言ってもいい。真顔で立ち尽くしているシーンではいつ「ウィッシュwwww」って言い出さないかとヒヤヒヤしたけれど。(余計な心配)

 

ということでストーリーは王道のジャンプ漫画的なラブコメで良かったけれど、目から入る情報が邪魔をしてあまり楽しめない部分が多かったかなというのが正直な感想。

同じマンガの実写化でもかなり楽しめた『銀魂』と一体何が違ったのかと考えてみたけれど、やっぱりマンガっぽい表現と無駄にリアリティのある演出が常に混在することによる中途半端感がいけなかったのかなと思う。

じゃあ一方、愛すべきクソ映画として認定できるかと言うと、やっぱりマイナス方向に突き抜けた『進撃の巨人』『テラフォーマーズ』『鋼の錬金術師』といった歴代のレジェンドたちの足元には遠く及ばない。

強いて言えば、「やっぱり何事も中途半端なのはいけないんだな」という気付きを与えてくれたという点では、評価できるんじゃないだろうか。それに約2時間と1800円を捧げるだけの価値があるかどうかは別として。

 

結論:これを2018年の〆に観なくて本当によかった

結論から申し上げると、本作の個人的な評価は「これを2018年の締めくくりにしなくて本当によかった」である。

オーバーリアクション、まどろっこしいセリフまわし、せわしないカメラワーク、などなどマンガらしさを意識した演出と、キャストたちのコスプレ感、そして時折見せるリアリティのある演出がこれほどまでにないミスマッチ感を醸し出していた問題作だったわけだが、一部の原作既読組からは映画オリジナルの展開や原作との違いについて好意的な意見が出ているところを見るに、これはおそらく本編を観ながら頭の中で原作のシーンの数々をなぞることでようやく完成するものなんだろう。

それはそれで、だったら最初から総集編(で、展開を一部変えて劇場版仕様にするというあるあるパターン)でアニメ映画として作ってくれたほうがよっぽど良かったんじゃないかというツッコミどころはあるのだけれど。

ただ唯一褒められる点があるとすれば、映画オリジナルのエンディングでしっかりと物語が締めくくられているという点だろうか。原作ではこのあとにもうひと悶着(厳密にはさん悶着ぐらい)あるらしいのだが、それに倣って「続・ニセコイ!2019年夏公開!」みたいなことをしなかったのは英断だった。

ということで徹頭徹尾、悪口しか言っていないけれど、これにてニセコイの感想を終わりにしたいと思います。もうほとんど劇場公開が終わっていてよかったですね。気になる人は数百円でレンタルして自宅でのんびり楽しみましょう。

それでは。