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【映画レビュー】『ビブリア古書堂の事件手帖』が爆死してる理由がよく分かった【ネタバレあり】

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出典:映画『ビブリア古書堂の事件手帖』絶賛上映中!

 

原作は「超」が付くほどの人気ミステリー小説で、多くのファンが映像化を心待ちにしていなかったことで有名な本作。

いつだかにドラマ化されたときは剛力彩芽が絶賛ゴリ押しされていたなかで主役に抜擢されたことで瞬く間に大炎上。

「見た目が違いすぎる!」「ゴリ押しウザい!」「原作を汚すな!」「ゴーリキー!」とボロクソに叩かれたうえ、内容も原作を改悪しまくって見事にファンを怒らせた。

その結果、月9枠で見るも無残な爆死を遂げ、全10話中いちばん視聴率が悪かったのがまさかの最終回だったというオチまでかましてくれた大問題作だった。

 

そんな散々な結果に終わったドラマ版から数年、リベンジと言わんばかりに今度は黒木華と野村周平主演での実写映画が2018年に爆誕。

予告が公開された時点でネット界隈には不穏な空気が立ち込めていたが案の定、評判は芳しくない。

ということで(?)世間の評判の真偽を確かめるべく実際に観てきたので個人的な感想を述べていきたい。

 

ミステリーものかと思ったら恋愛映画でした

仕事終わりのまわらない頭でミステリーものなんか観て大丈夫なのか?と思ったが、結論から言うとその心配は杞憂に終わった。

 

「あ、これ恋愛ものだ」

 

物語の軸となるのは1冊のレアものの古書。これを巡って事件に巻き込まれたり、おばあちゃんのドロッドロの大恋愛(不倫)を回想したり、現代っ子の恋愛の1コマが描かれたりするのだけれど、これがまぁビックリするくらいにミステリー要素が薄い。

原作未読でドラマも一切見ていなかったため、多少なりとも知識を入れてから観に行こうと思い仕事中に上司の目を盗んではせっせと調べものに励んでいたのだが、いざ映画本編を観て、なるほど納得。これは大ヒットするような映画じゃないわ。

 

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実質、本作の主人公たちです

 

まず映画を観てほしいターゲットの設定が中途半端で、ファンのための映画にしては内容が薄すぎる。これは祖母の大恋愛の回想に重きを置いているためで、原作小説の面白いところ、ファンの見たいところがほとんどカットされているかもしくは駆け足で流されるため。

じゃあ原作未読組のための映画なのかと言われればそうでもなく、前述するようにミステリーを謳っておきながら実は中身はほとんど恋愛ものと化しており、もはや『ビブリア古書堂の事件手帖』である必要がない。

ファンからしても初見組からしても感情移入できるポイントが少なく、正直、観終わったあとに「あぁ…古本屋の独特のノスタルジックな雰囲気がよかったね…」くらいの感想しか出てこなかった。

 

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このあたりはすげぇワクワクしたんだけどなぁ…

 

ちなみに配役についてネットの感想を見ると、どちらかと言うと批判の声が多いように思えたが私個人としてはそんなに悪くなかったんじゃないかと思っている。もっとも、原作未読であるが故にキャラに思い入れがないという点は大きいのだが。

 

とここまでほぼ悪口しか言っていないが、もちろんいいところもたくさんある。

まず小説をテーマにした物語であるため、有名な作家の作品なども劇中に出てくるので、日ごろから活字を愛してやまない読書好きには恐らくブッ刺さる小ネタも多くあったのではないだろうか。

普段、活字を全く読まない私でも東出昌大のルックスが太宰治っぽいことに気付けたくらいなので、そういう小ネタが分かるとニヤリと出来る場面はあちこちにある。映画を観終わってからいろんなブロガーの感想を読むと答え合わせみたいになってすごく面白いよ。

あとは終始テンションの低い絵面というのは裏を返せば、物静かでどこか幻想的にも感じる絵面でもあった。

路地裏の古本屋に陽の光が差し込むみたいな演出はキレイだったよ。うん。

 

犯人はヤス

さすがに笑えたのが犯人の犯行動機のショボさ。簡単にまとめると、

 

犯人「レアな古書ほしいンゴ!」

 

栞子「ダメです」

 

犯人「お願い!お願い!どうしても譲ってほしいンゴ!」

 

栞子「ダメです」

 

犯人「もーう!怒ったぞーう!(ワニワニパニックの最後のラッシュ前のワニの声で再生してください)」

 

です。

 

もう冒頭から、とある人物から犯るぞオーラがビンビン出ちゃってる。

「あ、きっとこれ、コイツが犯人だ」ってなんとなく分かっちゃう。

だもんでネタバラシのタイミングで満を持して「わたしです(^O^)」って言われても、「うん、知ってた。」って感想しか出てこない。

でもってそれに対抗する主人公、ヒロイン、その他もろもろ、登場人物もれなく全員バカ。

終盤の茶番はマジで、俺は何を見せられてるんだ状態。事件手帳とはいったい何だったのか…。

 

文学好きはニンマリできる映画でした

物語の特性上、小説をかなり意識した演出も多く、文学好きの人であればニンマリしながら観れるシーンも多々あった模様。(観おわったあとにいろんな人の考察を読んで初めて知った)

逆に私のように文学好きでもなく、純粋に映画の物語を楽しもうと思うと……悪いことは言わん。そのお金で他の映画を観に行きなさい。個人的な感想としてはこんなところ。

終始テンションが低くド派手なアクションなどがあるわけでもないため、淡々とした映像がひたすら続く。絵面がすごーく地味。とにかくこれが辛い。

こればかりは仕事終わり(疲労感MAX)で観に行った私が悪かったのだが、ずーっとフラットなテンションで物語が進んでいくため、淡々と会話が続くような退屈な場面では睡魔と戦うのに苦労した。

本作が気になっている人の参考になれば幸いです。それでは。