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【映画レビュー】今回のヴェノムはツンデレなダークヒーローでした【ちょっとだけネタバレ】

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出典:映画『ヴェノム』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

 

ヴェノムってスパイダーマンの宿敵として知られていて、かつ根強い人気を獲得しているヴィランじゃないですか。

そんなヴェノム単体にスポットライトをあてて映画化されるという話を聞いたときはどうなることかと思いましたが、マーベルファンも初見の人も楽しめるなかなかの良作でした。

それじゃ、つらつらと感想書いてきます。

 

ほぼ原作通りの設定でファン納得

原作コミックスの設定ではスパイダーマンがとある戦いで異世界に旅立った際、なんとも珍しい黒いスーツを発見。そのスーツと一緒に地球に帰ったら実はそのスーツにはシンビオートという地球外生命体がくっついていて、いろんな宿主(主に人間)に寄生して暴れ回るというのが、ザックリとしたヴェノム誕生のお話。

シンビオートはでっち上げの記事を書いたことをスパイダーマン(ピーター・パーカー)に暴かれた敏腕記者のエディ・ブロックのスパイダーマンに対する憎悪に反応し、エディに寄生。それが初代ヴェノムの誕生だった。

なお、今作ではエディ・ブロックは敏腕記者という設定は活かされているものの、そのちょっと捻くれた性格と自身の正義に従って、悪の親玉であるライフ財団の代表に噛みついた結果、自身の職も婚約者も失うという設定に変更されている。まぁ、ここでスパイダーマンとか出てくるとややこしくなるしね。

また、ビジュアルもゴリマッチョの巨体、不気味な目や口、長い舌など、これぞヴェノムという見た目に仕上がっていてマーベルファンも納得ではないだろうか。

 

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これぞヴェノム!

 

ちなみに原作では凶悪なヴィランとして登場するヴェノムだが、今作では人間を頭から噛み砕く残虐性や周囲を巻き込む凶悪さは残しつつ、宿主のエディと軽快な会話を交わしたり、元婚約者のアンに対して好意を持っているような素振りを見せたり、挙句、「俺も自分の星では負け犬だった」「地球が気に入った」とシンビオートたちもビックリの裏切り。

このあたりのヴェノムの心理状態の移り変わりはいささか急だった気もするが、2時間に収める必要があるということを考えると、まぁ上手いことまとまっていたほうかなぁ。ていうか発言がいちいち人間臭くて可愛いなヴェノム。

 

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このときは如何にも侵略者っぽかったんだけどな

 

そうそう、急に心理的に変化が訪れるといえばヒロインのアンもなかなか急だった。

エディに死が迫ってると分かった途端に、あんなに恨んでいたエディの味方ポジションになって、かつヴェノムを見ても一瞬ビビるだけですんなり受け入れちゃうし、ヴェノムに寄生された感覚を気持ちいいと表現してみせたり。

主役にピンチが迫ると途端に物分かりが良くなるヒロインってのは洋画あるあるですな。

なお、シンビオートは宿主の性格などに影響し特性も変わるという設定であるが、一時的にアンに寄生したヴェノムが『シーヴェノム』というスレンダー美人になっていたのは驚きだった。あんなコロコロと特性が変わるんだなぁ。「シーヴェノムよ♡」とか言ってたし。もうちょっと見たかったな、シーヴェノム。

そう考えると今作のエディ・ブロックはかなり正義感のある人物として描かれているため、それに影響を受けたヴェノムがダークヒーローとなるのも設定としては上手いことまとまっているような気がする。

 

見どころ満載で初見でも楽しめる内容

さて、ヴェノムと言えばサム・ライミ監督の『スパイダーマン3』にも出てきていたけれど、あのときは黒いスパイダーマンのほうにフォーカスが当たっていてヴェノム自身の出番はあまりなかったように記憶している。

ところが今回はスパイダーマンは一切出てこない。最初から最後までヴェノムのお話なのだが、スパイダーマンの宿敵であるという設定を一切匂わせない構成になっているため、初見の人が見ても純粋に『ヴェノム』というキャラクターを楽しめるようになっている。

寄生といっても意識を乗っ取られているわけではないのでエディとヴェノムそれぞれに自我が存在する。そのため自分(たち)を呼ぶときは「We Are VENOM(俺たちはヴェノムだ)」となり、これがヴェノムを語るうえで欠かせない名台詞になるわけだが、これもしっかりと劇中で、しかもここぞという決め台詞のタイミングでバッチリ言ってくれるもんだから、映画館で見ながら「くぅ~~~!たまんねぇ!」ってなった。

 

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すごくカッコいいシーンなんだけど初見では何がどうなってるのか…

 

また今作の面白いところは、よくあるヒーロー映画のそれではないところだろう。

『悪 VS 悪』という珍しい構図に目を引かれることもあるが、それぞれの信念のための戦い、そしてヴェノム自身が「勝てる可能性はほぼゼロだろう」と圧倒的な力の差を自覚しつつ、気に入った地球のため、そしてエディのためにシンビオートのリーダー格であるライオットに挑むシーンはグッと来るものがある。

もちろん自由自在にグネグネ動くシンビオート同士の戦い、かつスピード感のある攻防でアクション性もバッチリ。もっとも、縦横無尽に画面内を動きすぎてところどころ目で追えない部分もあったけれど。

 

小ネタも満載で大満足

今作の最大の見どころは『エディ・ブロック』という人物の良心と、『ヴェノム』の凶悪性の狭間で葛藤するトム・ハーディの名演だと思う。

劇中でも度々1人芝居の様相を見せるシーンが出てくるが、シリアスなシーンもどこかちょっぴりとコメディチックに見えたりする見事な演技だった。

あと個人的にはドローンが攻撃方法としてサラッと出てくるのも面白かった。時代背景が反映されているなぁと本編を見ながら感心してしまった。

 

ちなみにスタン・リーは今作にもしっかりカメオ出演する。

ヴェノムが「誰だアイツ?」って言うけれど…キミの生みの親だよっ!!

それを踏まえたうえでスタン・リーがエディを見て「キミたち2人とも」というニュアンスの発言をしていたところに感動した。さっすがマーベルの父やでぇ。

もちろん、今作も本編が終わっても離席は厳禁。

エンドロールが始まってすぐエディとヴェノムのその後が描かれるが…。これは次回作に期待していいってことですか!?な展開が待っている。

しかしこれで全ての映像が終わったと思ったら大間違い。長い長いエンドロールもそろそろ終わりに近づいたかと思ったそのとき、ふと映像が切り替わる。そしてそこに映し出されたのは……えええぇぇ!!!?スパイダーバースゥ!!!?

 

ということでマーベルファンはもちろん、なんかアクション映画でも見てスッキリしたいなぁという人にもオススメの最後の最後まで楽しめる一作でした。

では今回はこのへんで。いい人生を。