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【映画レビュー】『劇場版 ポケットモンスター みんなの物語』は俺たち(アラサー)のための物語だった【少しだけネタバレ有】

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出典:ポケモン映画公式サイト「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」

 

『劇場版ポケットモンスター ルギア爆誕』が公開されたのが1999年のこと。当時、少年たちの間では初代ポケモンの緑・赤、および続編の金・銀が爆発的に流行っていた。

みんなこぞってゲームボーイを持ち歩き、手持ちのポケモンを自慢しあっては、どちらが本当に強いのかというマウンティング合戦に移行するのがお決まりの流れ。

当時は赤外線通信、ましてWi-fi通信なんてものは当然なかったから、生身の相手とリアルタイムでポケモンバトルをするには通信ケーブルという物理線でゲームボーイ同士を接続する必要があった。

自分の持っているバージョンでは出ないポケモンがいたり、友達と通信交換しないと進化しないポケモンなどもいて、通信することの重要度が高かったあの時代に通信ケーブルを持っていたヤツは、それはそれはまるで英雄のように崇められていたものだ。

そんな時代から早、20年近く経った2018年の夏。しばらくポケモンから遠ざかっていた私ですが、久しぶりにポケモン映画を観てきましたので、以下に感想をちょちょいのちょいと書いていきます。

どうぞよろしく。

 

オリジナルストーリーだから観る気になれた

ポケモン映画といえば、その世代(シリーズ)ごとの伝説ポケモンを取り巻く冒険活劇が通例であった。(初代ならミュウツー、金・銀ならルギア、ルビー・サファイアなら…etcといった具合に)

そのため、映画の楽しみ方はどうしても「ゲームのなかの伝説のポケモンが巨大スクリーンで画面狭しと動き回っている!」という感動がメインになりやすく、それはつまり常に最新のポケモンをプレイしていないとその感動も半減、いや、1/4程度しか感じられなかった。そう、1/3も伝わらない。無知のまま観たところで純情な感情が空回りするだけなのだ。

実際、私がポケモンから離れたのがルビー・サファイアが出たころ。そのころには既にポケモン映画は毎年恒例の夏休み映画の地位を確立し始め新作が続々と登場していたが、金・銀以降の映画はどうにも興味が湧かなかったし、劇場予告なんかを見ても一切ワクワクしなかったことを覚えている。特に思い入れのないポケモンと熱い友情を交わしたところで別になぁ…といった具合。

 

ではなぜ、ポケモンをプレイしなくなって久しいこのタイミングでわざわざ劇場に足を運んだのかと言えば、それは本作のストーリーが完全オリジナルであるということが大きい。

実は前作の『キミに決めた!』もアニメ版の冒頭であるサトシとピカチュウの出会いをリメイクした内容だったということで、当時リアルタイムで観ていた世代にはクリーンヒットの内容だった。

ただ、前作は観よう観ようと思ったままズルズルと引き延ばして来てしまった(現時点でまだ未視聴)ということもあり、オリジナル2作目は機会があれば劇場で観てみたいと思っていた。

また、私の大好きなポルノグラフィティが主題歌を担当しているということもあり、更に惹かれていたところにちょうど観に行かないかとお誘いを受けたため、喜んで劇場に足を運んだというわけなのだ。

 

本作はその名の通り、本当に『みんなの物語』だった

いざ劇場に足を運んだのはいいが、劇場内は夏休みキッズとその保護者でいっぱい、大きいお友達は我々とすぐ後ろに座っているもう1組のみという超絶アウェーな状況だった。

いささか場違い感を醸し出している自分自身がどうにも恥ずかしく、早く暗転しないかとソワソワしていたが、いざ本編が始まると一気にその世界観に吸い込まれる気持ちよさに震えた。きっと劇場内のどのキッズよりも純粋に映画を楽しんでいたんじゃないだろうか。

内容としては、年に一度、フウラシティで盛大に行われる風祭りというイベントに参加するために町にやってきたサトシとピカチュウが様々な事情を抱えた人たちと出会い、交流していくなかで、ポケモンとの繋がり、絆を再確認するといったようなシンプルなものになっている。

 

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ものすごく好きな1枚絵なんだけど、実は劇中にこのシーンはない

 

しかし、そのシンプルな内容の中に登場人物たちそれぞれの物語がちゃんとあって、その人たちの物語が絶妙に交差しながらポケモンとの友情や信頼関係が育まれていく様子が丁寧に描かれていて、実はかなり味わい深いストーリーになっていたりするから侮れない。そう、本作の主役はサトシだけではないのだ。そこがとても良い。

今までの物語は『サトシと伝説のポケモンの交流』がメインテーマで正直マンネリ化が否めなかったはずなのだが、本作のように数人分のストーリーがリアルタイムで交差するような展開にすることによって、物語の主軸にはしっかりとサトシがいるけれど新鮮味が感じられる構成になっているんじゃないかと思えた。もちろん、この「みんな」には主要キャラ以外の市長や、町の人々も含まれる。

また、タイトルである『みんなの物語』はスクリーンの向こうの登場人物たちだけのことではなくて、観客に向けられたものでもあることを実感した。というのも、出てくるポケモンがほとんどが金・銀までのキャラクターたちで、馴染みのあるポケモンたちがあっちこっちで動いているだけでアラサーとしては感慨深いものがあったのだ。

婆さんの周りでポケモンたちがわっちゃわっちゃしてる端でネイティオがひっそりと見守っている様子に萌えたり、昔懐かしのBGMが挿入歌として流れてメチャクチャ興奮したり、ウソッキーの涙で訴えのシーンで目頭が熱くなったり…。まさか「ウッソ!ウッソ!」言ってるだけのヤツに泣かされる日が来るとは思いもしなかったぞオイ…。

 

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このコンビが泣かせてくれるんすよ…。

 

当然、現役でポケモンに熱中しているキッズたちも楽しめるようになっているし、その付き添いで観ているお父さん・お母さんもシンプルで分かりやすい内容なので子供と感想を共有しやすいと思う。まさにみんなの(ための)物語なんじゃないだろうか。

 

いろいろと惜しい部分を言わせてもらうと

遠い昔の記憶を辿ると、やられ役でお馴染みのロケット団も相変わらずトラブルメーカーではあるものの、劇場版ではなんだかんだでサトシたちと協力するという胸熱の展開になるか、本人たちは気付いてないけれど実は縁の下の力持ち的な役割を果たしていたというシーンがあったと記憶していた。憎めない悪役は劇場版でも活躍しちゃうあるあるってやつ。

ところが、本作のロケット団はいいところが1つもなかった。序盤は画面の端っこで地味にジュースを売っていると思ったら、中盤ではうっかりの凡ミスで町中を大パニックに陥れ、終盤では出番すらなかった。

意図せずうっかり犯した凡ミスが大事件を引き起こすあたりの描写はロケット団らしいと言えばらしいんだけど、劇場版でくらいはもっとちゃんと悪役しててほしかったなぁと。意図した形で邪魔しに来てほしかったと思ってしまった。まぁ、町中のサトシとの鬼ごっこはBGMも相まってすげぇワクワクしたけどさ。

あとはレアポケモンハンターみたいなモブキャラはあとあと事件の引き金になると思っていたけれど、本当にただのモブキャラでしかなくて呆気なく出番が終了したのは拍子抜けだった。あいつらの出番いらなかっただろ絶対。どうせならレアポケモンの噂を聞いたロケット団がひと悶着おこしてくれたほうが絶対によかったと思うのは私だけじゃないはず。

 

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ゼラオラの声は山ちゃんらしい。あのひとすげぇなぁ。

 

もう少し言えば、ゼラオラが作中で幻のポケモンという扱いをされていた割には、見た目がいまいちパッとしなかったのも、うーん…という感じ。おそらくルカリオみたいに伝説のポケモンという扱いではないものの、なんか特別視されてるヤツくらいのポジションなんだろうけど、あれだけ大活躍するんだったらもうちょい神々しい見た目にしてあげてもよかったんじゃ…。

ただしゼラオラの見た目が微妙だったぶん、とにかくルギアがカッコよかった。ルギアのカッコよさがより一層、引き立てられてた。クライマックスにちゃんと姿を現してくれたところで昔の映画のシーンがフラッシュバックしてものすげぇ興奮した。

あ、なるほど、つまりゼラオラはルギアのカッコよさを目立たせるための噛ませだったんだな。かわいそうにゼラオラ。

 

総合評価では良いアニメ映画だと思います!

とまぁ、惜しい点もいくつかあったものの、全体を通して総合的にはかなり満足できる内容だったと思います。キッズ向け映画だと思って侮ってると泣かされますからね。ウソッキーに。

それにゲスト声優もみんな上手くて驚いた。ポケモン映画のゲスト声優って上手い人多いよねぇ。…おっと、ハマちゃんのヤドキングの悪口はそこまでだ。(個人的にはあのボヤキが大好き)

あとリサちゃんがかわいいです。リサちゃんを見に行くだけでも劇場に足を運ぶ意味があると思います。イーブイもかわいいし。ボクもリサちゃんに抱っこされたい。

 

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リサちゃんかわいいよ!リサちゃん!

 

ちなみに入場者特典で劇中に出てきたゼラオラのガオーレディスクというのをもらったのだけど、それは劇場の前でポケモンの看板にしがみついていたチビっこにあげた。

このガオーレディスクというのはゲーセンで稼働しているチビっこに大人気のポケモンガオーレというゲームで使えるアイテムらしく、これとDSのポケモンでゼラオラを受け取れる権利を手に入れるために劇場に足を運ぶキッズも多かったようだ。

ということを知っていたのもあり、看板にしがみついているチビっこの手には大量のガオーレディスクが詰め込まれたケースが握られていたため、試しに声をかけてみたら上機嫌で看板から離れていた。

ママは映画代を払うことなく、チビすけは目的を達成し、私は手荷物が整理できてと、誰も損をしない優しい世界がそこにはあった。なるほど、これがサトシの言っていたポケモンパワーか。(たぶん違う)

 

ちなみに次回作の予告がエンドロール後に流れたんですけど、画面に映し出されたタイトルはなんと、

 

 

 

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 EVOLUTION

 

 

 

観なきゃ(使命感)