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【映画レビュー】『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』の内容を一言で言うならば、ピタゴラスイッ死。【ネタバレあり】

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バイオレンスな美女と野獣。

大雑把に言えばこんな感じのホラーコメディなんですが、ここ最近で観た映画の中ではかなりの良作でした。

仕事で疲れた脳でも理解できる分かりやすさでありながらも、決して中身がカラッポというわけでもない。素直にとてもおもしろかった。これはネット上での評価が高いことも頷ける。

 

軽くあらすじを言いますと

ジャンルとしてはスプラッターホラー&コメディで比率は3:7くらい。

基本的な話の展開や内容はしっかりコメディしている反面、ホラー要素もしっかりしていて、グロいシーンは割と多め。他のスプラッター映画よろしく、血しぶきがバッシャバシャ飛び散り、人肉がミンチになり、大火傷によって半身がフレディみたいになるため、その手の表現が苦手な人は閲覧注意。

かく言う私もあまりにも過激なスプラッター映画は気分が悪くなってしまって途中で観るのをやめてしまうこともあるのだが、本作は最後まで楽しく観れたためそこまで心配する必要もないかと思う。

 

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木材破砕機(ウッドチッパー)に突っ込んでミンチになった大学生を片付ける2人(これはマズいですよ)

 

あらすじとしては温厚でマイペースなタッカーとデイルが、貧しいなりにも幸せを謳歌するためにコツコツとお金をためてようやく手に入れた念願の別荘(ボロい山小屋)を手に入れ、休暇も取ったしこれから楽しいバカンスだ!というまさにそのタイミングに、たまたま同じ敷地内にキャンプに来ていた大学生たち(ヒロインを除いて全員アホ)と鉢合わせし、なぜか殺人鬼と勘違いされてしまう。そしてこれがきっかけで、あれよあれよという間に大惨事に発展していってしまうという内容。

 

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勘違いするアホども

 

この勘違いから始まる大惨劇と言うのがまたまぁ、アンジャッシュがエンタの神様でやるコント並みに展開が早い。「今宵も2人の勘違いが波乱の展開を巻き起こす~」っていう女の声が脳内再生される。コント死掛けのスペシャリストですよ。

ただしこの映画の面白いところは、作中で人がポンポン死ぬのに直接的な殺人は一度も行われないところにある。なぜならアイツもコイツもソイツも勝手に発狂して、勝手に自爆して、勝手に死んでいくのだ。ピタゴラスイッ死である。

 

2周しても飽きない、むしろもう一度見返したくなる内容

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主人公の1人であるデイルは『おバカだけど素直で心優しい』という王道の愛されキャラなのだが、作中では軽度の障害持ち(たぶん自閉症?)のキャラクターとしても描かれている。(自身のことを「物覚えが悪い」「昔から特殊だった」「小3のテストも危うい」と言っていたため)

これにより、冒頭にデイルが大学生たちを見てニヤついているというシーンの印象が初見と2周目では全く印象が変わるのだ。

最初に見たときはサイコパス野郎にしか見えず、うわっ!こいつが絶対なんかやるんだ!と思わせる不気味さを漂わせているのだが、2周目では彼の緊張や戸惑いがこれでもかと出ている味わい深いシーンとなっていて、初見とは真逆の愛おしさを感じるようになる。

これは相方のタッカーに関しても言えることで、初見ではぶっきらぼうで何を考えてるか分からない変な奴という印象が強かったのに対し、2周目では素直になれないところもあるしお調子者ではあるけれど、心の底からデイルを信頼しているメチャクチャいいヤツということが分かっているうえで見るとどのシーンも愛おしい。

2周目なのに初見と同じくらいに(むしろ初見以上に)新鮮に楽しめるのは、こういう答え合わせ的な細かい配慮も丁寧に仕込まれているからなんじゃないだろうか。

 

見事な伏線回収

本作には超わかりやすい伏線が2つあって、まず1つは物語冒頭に保安官のオッサンに言われた「この先の森には危険が潜んでいるから立ち入るな」という警告。もう1つはタッカーとデイルが購入した念願の別荘がやたら物騒な雰囲気に包まれていたという点。

この2点は作中で何度か触れられるのだが、結局、作中では明言・言及はされないまま物語が終わってしまう。

これは物語をしっかり理解しながら見ることで自分のなかで納得すると言う答え合わせの仕方になるのだが、まぁ順当に考えれば物語の舞台となった森は過去に殺人鬼が出没した森そのものであって、あの山小屋は殺人鬼の潜伏場所か何かだったんだろうということだと思う。

森の正体も山小屋の過去の歴史もヒントだけ出してあとはあえて明言を避け、観客に思考させる時間を与える。そしてハラハラドキドキのクライマックスシーンで急に思い出したかのように殺人鬼の正体が暴かれ、保安官の言葉の意味も判明する。

この観客の意識が冒頭の伏線から遠のいた頃に突然おこなわれる答え合わせは見事だったし、かなり練られた演出で感動した。

 

仮に2人が大学生たちと出会わなかったとして

本作の物語のカギは『大学生たちと出会ったこと』『アリソンを助けたこと』で、これはタッカーも「関わらなければこんな目に合わずに済んだのに!」と散々言っていた。

じゃあ仮に両者が出会わなかったとして、お互い幸せなバカンスが過ごせたのかと考えると、私のなかではヒロインであるアリソンただ1人が不幸のドン底に突き落とされるんじゃないだろうかという結論に至った。

きっとタッカーとデイルは自分たちが購入したボロ屋がいわくつきの物件だったとしても気にせずワイワイ楽しむんだろうし、アホな大学生たちも持ち前のDQNパリピのノリでフィーバーナイッ!して、酒をガブ飲みして、調子こいて湖で悪ふざけ始めて、そのうち1人が溺れてそのまま犬神家になって、一気にお通夜テンションになって帰るんだろう。きっとね。夏の風物詩だもんね。

 

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アリソンかわいいよ。アリソン。

 

一方、アリソンは散々だ。付き合いで仕方なくついてきたDQNパーリナイにうんざりするどころか、ガチサイコパスのチップ(DQNグループのリーダー格)に気に入られ、早かれ遅かれ危険にさらされていたに違いない。とんだ夏の思い出ですわ。この季節が来るたびに思い出してる。これにはケツメイシも真っ青です。

そう考えると両者が出会ったことで、ボロ屋と引き換えにデイルとアリソンは美女と野獣カップルになれてめでたしめでたし。お似合いだと思うよ。タッカーはまぁ…うん。女子大生の裸を覗こうとした罰ということで。(にしてはあまりにも災難ではあるが)

 

 

まとめると

ちょっとでも面白そうと感じた人は是非とも観てほしい。これは観て損しません。

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オススメの映画です。是非。