よくみれば雑食

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「お客様は神様だろうが!」←今どきこれ言うやつ絶滅危惧種説

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先日、職場の先輩と仕事終わりに軽く飲んでいこうという話になり、居酒屋に行ったときの出来事。

平日ということもあり、店内は仕事終わりのサラリーマンでにぎわっている。おそらくほとんどが軽く飲んで帰る勢の人々だろう。

そんなほっこりした雰囲気に我々もなんだか気分がよくなってきたもんだから、さっそく注文。さぁ、乾杯しましょう!というところで、向こうのほうからオッサンの怒鳴り声が聞こえてきた。

 

「お客様は神様だろうが!」

 

おいおいおいおい…!こりゃあ、たまげた…!
時は2017年、インターネットが普及しきったこのご時世に、自分のことを神と名乗るのはモンスターエンジンの2人くらいだろうと思っていたけれど、まだ存在していたのか。

最近めっきり聞かなくなったこの勘違い発言。今となっては絶滅危惧種に指定され、普段の生活のなかでは鳴き声を聞くことすらままならない珍獣を、まさかこんなところでお目にかかれるとは。もはや感動すら覚える。

珍獣は「私は普段から嫌われ者です」と自己紹介するかのごとく喚き散らしている。見た目に関しても『いかにもケチをつけてきそうなオッサン日本代表』という感じで、小デブでハゲというポイントもしっかり抑えてきている。それっぽさが100点満点。歩く教科書かよ。

 

残念ながらオッサンは神様ではない

そもそも『お客様は神様です』という言葉は、演歌歌手の三波春夫さんが生み出した言葉で、ご本人は既にお亡くなりになっているものの、実は生前からこの言葉がねじ曲がって解釈されてしまっていることについて苦言を呈していたそう。

そういった経緯もあり、いまもご本人のHPにはこのように記載されている。

 

三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです

客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズなのです。

三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのですし、また、営業先のクライアントのことでもありません。

しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう風になるようです。

そして、店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。俗に言う“クレーマー”には恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。

『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。

ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』

 

引用:三波春夫オフィシャルサイト「お客様は神様です」について

 

本来の意味では「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのこと』であって、『商店や飲食店などのお客のことではなく、また営業先のクライアントのことでもない』のである。

つまり客自信が『私を神のごとく扱え』と図々しく主張することは根本から間違っているのだ。

読者のみなさんにおかれましても、何を今更そんなこと…とお思いでしょう。そうなんです。『何を今更そんなことを言っているんだ』っていうのが世間一般の認識のはずなんです。

ところがどっこい、普段の生活のなかで意識せずとも多くの情報が目や耳から入ってくるくらい文明が発達したこの時代に、まだこんなことを言っているやつが生き残っていたなんて…。おまえはシーラカンスか。

 

てなわけで、予期せず珍獣に遭遇してしまったもんだから、私も先輩もなぜかテンションが上がってしまって、もうそちらに夢中だった。ビールの泡がどんどんしぼんでいく。

次はどんなことを言い出すのか、この居酒屋でどんな伝説が生まれるのか、ワクワクが止まらなかった。目が釘付けだった。そしてビールがどんどんぬるくなっていく。

それはまわりのお客さんたちも同じ気持ちのようで、『気にしない』『意識しない』ようにしつつも、チラチラと好奇心の目で珍獣の様子をうかがっていた。

結局のところ、店員さんも苦笑いこそしつつ、誠意ある対応をしていたので珍獣の怒りも収まったようだった。デキる男は珍獣の扱いもお手の物なのだ。こちらとしては珍獣の更なる活躍を期待していただけに非常に残念ではあったが。

しかし今回の件で1つ分かったことがあって、2017年現在で『我は神なり』と言葉を発することで、崇拝されるかどうかは別として注目を集める効果については絶大のようだった。

これ例えば校長先生とかは使えそうじゃないかな。「全校集会マジだりぃ~」とか言ってるガキんちょも、目の前で急に『我は神なり…』とか言われたら「やべぇ…。なんかわかんないけどすごくやべぇ…。なんだこの威圧感…。」ってなって、黙るしかないと思うんだよね。ここで校長先生がローブみたいなのを巻いてたら更に雰囲気が出てGOOD!

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 (※イメージ図)

 

妖怪クレームババアとケンカした高校時代

こんなことつらつらを書いていたら、ふと高校生のころにスーパーでバイトをしていたときのことを思い出した。そのスーパーは決まって夕方のとある時間帯に【妖怪クレームババア】が出現することで有名だった。

バイトリーダーや上司などそれなりの経験を積んだ猛者でも退治はできず、結局、クレームババアが満足して帰るまでやり過ごすことで精一杯だった。

クレームババアは、ほぼ毎日100~300円くらいの買い物をするついでに必ず1つ以上のクレームをつけて帰るという精神を蝕んでくる系の妖怪だった。

いくら妖怪と言えども少なからず売上に貢献しているので追い出すわけにもいかず、「あー、あれはしょうがない。数分我慢すれば終わるから割り切ってこ。」と上司も悟りをひらいていた。(※本人曰く、クレーム対応でたびたび駆り出されているうちに何も感じなくなってきたとのこと)

大人になった今となっては上司の言葉の意味も分かるけれど、多感なお年頃のあのころの私にはまだそこまでの余裕はなかったのだろう。日に日に溜まっていくドス黒い感情が徐々に漏れ出していたある日のこと、ついにクレームババアにブチ切れてしまったことがある。

 

お客様はカミサマだろがぃぃぃ!

 

やめてください。他の神様たちに迷惑です…(イライラ)

 

ああん!?わたしもお客なんだからカミサマだろうが!

 

オマエは神は神でも疫病神だけどなぁぁ!!!(ブッチーン)

 

もちろん、この大ゲンカは100対0でこちらが悪いということになり、上司と一緒に謝罪をすることで終結した。

その後、バックヤードで上司にも謝罪。

「まぁ、気持ちはわかるけど仕事をしてる以上は我慢しなくちゃいけないね」

と上司。おっしゃる通りで…。

しかし続けて、

「とは言ったけど俺も仕事だって割り切ってやってなかったら、たぶん徹底的に理詰めして論破して、もう二度とクレーム言えないようにズタボロにしてやると思うけどねw」

と笑う上司。

当時はユーモアを交えて慰めてくれたんだなぁ程度にしか思っていなかったけれど、社会人となった今ではこの言葉の真意が理解できる。

それだけに、たかが学生バイトにここまで言ってくれた上司はカッコいいなと思うし、素敵な上司だったと思う。そしてこれは本音だったということも今ならわかる。目の奥がマジだったから。サンキュー上司、フォーエバー上司。

 

ということで、みなさんの身の回りでのここ最近の珍獣の目撃談があれば情報提供をお待ちしています。以上、カザマでした。(露骨なコメント稼ぎ)