【本当にあった怖い話】不気味な山道のツーリング
本当にあった本当に怖い話です
夏ももうすぐ終わりですが、今回は真面目にホラーを語っていこうと思います。
実はこの記事を書く前に、おふざけで『ある意味怖い話』というものを書いたのですが、それを見ていただいた方から「本当に怖い話を書いてほしい」と言っていただきまして。
まだアクセス数が1日に100~200程度の超弱小ブログだったころにご意見をいただけたのは本当に嬉しかったです。(2017年4月の平均アクセス数)
ということで、これは是非ともご要望にお応えしたいと思い、本当にあった本当に怖い話を書いていくに至りました。
(※ちなみにきっかけとなった『ある意味怖い話』はこちら)
そして『ある意味怖い話』という、おふざけ記事を書くきっかけになった、にーちさんも怖い話シリーズを書かれていましたが、なんと最後の最後に本当に怖い話を掲載されていたので、この流れには乗っかっておこうと思いまして。
記事内に引用までしていただいたのに、中身はとんだ下ネタ記事で申し訳なかったというのもあるしw
(※ちなみにその絵はかわいいのに内容はしっかりホラーな記事がこちら)
さて、それでは前置きはこのくらいにして本編に進みましょう。
この話は私が父から聞いた話です。話は父目線で進んでいきます。
不気味な山道の信号機
これはまだ俺が若かった頃の話。
当時、バイク好きだった俺はツーリング仲間とよくバイクで旅行をしていた。
特に山や海といった場所を自然を感じながら走るのはとても気持ちがよく、あてもなくバイクを走らせるのが最高に楽しかった。
そんなある日、ツーリング仲間の1人であるリュウジ(仮名)がこんなことを言い出した。
「雰囲気の良い静かな山道の噂を聞いたから今度の休みに走りに行こう。」
普段からリュウジの誘いでツーリングに出かけることは多く、よく2人で日帰りの小旅行なんかもしたりする。
しかし珍しいこともあるものだ。リュウジはとにかく海が好きで、誘われたときはだいたい決まって海沿いをツーリングすることになるのだ。
そのうえ、普段なら早々に具体的な地名や見どころなんかをこれ見よがしにペラペラと語り始めるというのに、今回は『雰囲気の良い山』というボヤッとした情報だけでそれ以上は何も語らなかった。
この時点で多少の違和感は感じていが、まぁそんなこともたまにはあるだろうとそのときはあまり気にしなかった。
そして迎えたツーリング当日。リュウジの案内でしばらくバイクを走らせていると、徐々にあたりの雰囲気が変わっていくのに気が付いた。正直、霊感の類は全くないし、今まで何かが見えたこともないのだが、そんな俺ですら何とも言えない薄気味の悪さを感じる場所だ。
そうこうしていると、車が1台通れるかどうかくらいの山道の入り口に着いた。先ほどにも増してピーンと張り詰めた空気がなんとも不気味だ。それに真っ昼間だと言うのになぜか薄暗く感じる。霧が出ているわけでもないのに視界が曇って見える気がする。
しかし、前を走るリュウジはのんきに「な?雰囲気のあるところだろ?ここは穴場だぞ」なんて言っている。まるで何事もないかのようだ。
まぁ、少し考えすぎかもしれないな。一度気になり始めるとすべてがそう見えてしまうに違いない。などと思いながらバイクを走らせていると、とあるトンネルの前で信号に引っかかった。
こんな車通りの無い山道に信号機…?
俺のなかの違和感は増していく一方だ。先ほどからまるで異空間に迷い込んだかのような気持ちの悪さがある。
その後、特に何事もなく信号は青に変わり、その先のトンネルを抜けると、途端にパーッと視界が開けるような感覚があった。時間にしてほんの十数秒の信号待ちではあったが、まるで何分も待ったかのような倦怠感があった。
しかし、いざその場を離れてみると先ほどまで抱いていた違和感は消え、変な場所だなぁとは思いつつも、なぜか心惹かれるものがあった。
次の週、リュウジからの誘いが入った。なんとまたあの山道に行こうと言うのだ。
話を聞くと、俺が感じていた不気味な雰囲気と、そこを抜けたあとの不思議と惹かれる感覚をリュウジも抱いていたらしく、もう一度行って確かめてみようということだった。
不気味であったことに違いはないが、若さも味方して、恐怖心より好奇心のほうが勝った。結局そのままリュウジと2人であの不思議な感覚の正体をつかんでやろうということで盛り上がり、トントン拍子で山道へのツーリングの予定が完成した。
そして当日、問題の山道の入り口に到着した。
あたりには前回と同じようにヒンヤリとした空気が立ち込めていた。
細い入口から山道を進み、クネクネとした道を登り切った瞬間、急に雰囲気が変わったのを感じた。入口の前で感じたものとは比べ物にならないくらいに、ヒンヤリとした空気が流れている。
そしてまた例の信号機だ。今回もちょうど目の前で赤に変わり、十数秒の信号待ちだ。
前回といい今回といい、この信号もなんだか気味が悪いなぁと思っていると、横で信号待ちをしているリュウジが震える声で俺に話しかけてきた。
「なぁ……ここってさ、前から墓ってあったか?」
リュウジに言われてハッとした。
今の今まで全く気が付かなったが、なんと信号の奥のほうには墓地が広がっていた。
決して大きくはない墓場だが、なぜだかそのままスゥーっと奥のほうに吸い込まれそうな感覚に襲われた。
しかし特に何かが起こるわけでもなく、信号は青に変わり、少し気味も悪かったので足早にその場を去った。
山を降り、少し走ったところで休憩を取ることにした。
「いやぁ、今回も気味が悪かったなぁ!」なんて少しおどけながらリュウジの肩を叩くと、青い顔をしたリュウジが実は…と打ち明けた。
「実はさ……その、見えたんだよな。墓のほうからこっちをじっと見てる女がさ…。」
ここは本来であればドキッとするところだが、 このリュウジというやつは普段からすぐにふざけてそういうことを言うようなやつだったから、今回もいつもの悪ふざけだろうと思って軽く流すことにした。
案の定、リュウジも言い終えるなりすぐに「なんちゃってな。」と付け加えておどけてみせた。顔が笑っていなかったことは少し気になったが、それもあの雰囲気のある場所ならではの演出込みでのジョークだと思っていた。
その翌週、またリュウジからあの山へ行こうと誘いが入った。
さすがに悪ふざけが過ぎると思い断ろうと思ったが、どうしてもあの信号のあたりが気になると言ってきかないリュウジに根負けし、最後の1回と約束をして行くことにした。
その日もよく晴れて絶好のツーリング日和だったのだが、やはり山を登っていくにつれて雰囲気が徐々に異様になっていくのを感じる。
決して急な天候の悪化で太陽が隠れたわけではない。なのにあたりは明らかに薄暗く、空気が重い。そして山道を登りきるころには先ほどまでの心地よい陽気は一切、感じられなかった。
そして問題の信号機の前までやってきた。やはり今回も信号はちょうど赤に変わった。3回目ともなれば少しは慣れるかとも思っていたが、むしろ回数を重ねるほどに不気味さが増しているような気がする。さっととこのトンネルを抜けて帰りたい…。
そう思っていた時、リュウジがひどく怯えた声で言った。
「なぁ…なぁ……。あいつこっち見てるよな。あの女、こっち見てるよな?」
リュウジが指差す先は、このまえの墓場だ。
どうせまたコイツのことだ。いつもの悪ふざけだろう。さすがに今回はシャレにならないからガツンと言ってやろう。
そう思い、リュウジのほうを見ると、顔面蒼白で冷や汗をダラダラと流していた。
これはただ事じゃないと感じるのにそう時間はかからなかった。
その間もリュウジは墓場の一点を見つめ、
「女がこっちを見てる…!下半身の無い女がずっとこっちを見てる…!」
とひどく怯えている。
さすがに冗談にしては様子がおかしすぎる。これは何かとてつもなくヤバい。
脳内では危険を知らせるアラートがけたたましく鳴り響いている。
もうすっかり気味が悪くなった俺は、一刻も早くこの場を立ち去ることしか考えられなかった。
リュウジにもさっさとバイクを出すようにと促すと、リュウジが引きつった顔で言った。
「女が……こっちにきてる……。」
リュウジは冷や汗をダラダラ流しながら震える手でバイクを走らせようとするが思うように体が動いていない。
そうこうしているうちにどんどん俺にも恐怖が伝染してきて、胸がギューっと押しつぶされそうな錯覚がした。
とにかく早くこの場から逃げ出したい。もうそれしか頭にはない。脳内の危険を知らせるアラートがどんどん大きくなっていく。
「リュウジ!はやく!早くしろっ!!」
相変わらず俺には何も見えないが、言い知れぬ恐怖で身が押しつぶされそうだ。
「来てる…!こっちに来てる…!もうすぐそこまで…!」
リュウジは焦れば焦るほどに身体が固まって上手く動けていない。
しかし俺も恐怖のあまり体が固まってしまい、「早く!早く逃げるぞ!」としか言葉が出てこなかった。
もう何も考えられないほどの恐怖に押しつぶされそうになったときに、やっとリュウジが走り出した。俺もそれをみて急いでその場を去った。
トンネルを抜けると山を登る前までに感じたポカポカとした日差しが降り注いでいたが、それを気持ち良いと思えるような余裕は全くなかった。
時間にしてたった数分間の出来事だったが、まるで何時間もあの場にいたように感じられた。
ひどく疲れたため下山してすぐにしばらく休憩をとり、怯えるリュウジが落ち着くのを待ってからその日は家路についた。
その数日後、俺のもとにリュウジがバイク事故で亡くなったという話が入ってきた。
バイクに乗っている最中にトラックと衝突して即死だった。
死体は無残にも下半身のない状態で見つかったそうだ。
事故の原因はリュウジの信号無視で、目撃談によると自分からトラックに突っ込んでいったらしい。
その話を聞かされたときの身も凍るような恐怖は後にも先にもない。
それ以来あの場所には近づいていないが、なぜリュウジが執拗なまでにあの山にこだわったのか、そしてその女の正体とは何だったのか、それらは結局なにも分からないままだ。
以上、本当にあった怖い話でした
オチがない消化不良な終わり方で申し訳ないです。
本家のほん怖とかだったら、ここでアイキャッチが入って上手くまとまるんですけどね。で、吾郎さんと一緒にVTRを見てた子が泣いてて、みんなで邪気退散ー!喝ー!みたいなことして、続いての恐怖郵便を読み始めるんですけどね。
まぁ、本当にあった話は映画のような劇的なオチはないとよく言われるし、これはこれでリアリティがあっていいのかもしれないですね。
ちなみに、父は実際にはもう少し短めに要点だけまとめて話をしてくれたんですが、それだと1つの物語としては虫食いが多すぎたので、話の流れは父のオリジナルの内容に沿いつつ、フィクションになりすぎないようにしながら補完しました。
この話を聞いたのは私が小学生のころだったから、もう十数年も前のことになるのに未だに鮮明に覚えているというのは、なんとも不思議な感じです。
さて、本当にあった怖い話はいかがでしたでしょうか?
反応が良ければ第2弾もあるかもしれません。それでは。
(※この記事は2017.04.02に公開したものを大幅に加筆・修正したものです)