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【映画レビュー】俺が観たかったトイ・ストーリーはこんなんじゃない!そう思わされた『トイ・ストーリー4』が残念だった件【ネタバレあり】

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出典:https://www.disney.co.jp/movie/toy4.html

 

劇場に足を運んで自分の目で確かめるまでは細心の注意を払ってネタバレを避け続けまして。で、いよいよ観てきたわけですよ。待ちに待ったトイ・ストーリーの新作を。

そんでまぁ…あれですわな。観終わった感想を一言で表すならば「俺が観たかったトイ・ストーリーはこんなんじゃない」に尽きますわな。

上映後の明るくなった劇場内で呆然とする私。なぜならば、ずっと愛し続けた思い入れの強い作品をぶっ壊された喪失感と、トイストーリーじゃなくてもよかったんじゃねぇか?と言わざるを得ない後味の悪さにしばらく立ち直れなかったから。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』しかり、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』しかり、満足のいく内容の映画を観てもブログの更新をサボっていた私ですが、トイ・ストーリー4については、こればっかりは言及せざるを得ない。

ということでお久しぶりです。久々に文句を垂れまくります。どうぞよろしく。

 

俺の愛したトイ・ストーリーは3で綺麗に終わっていたのに

記念すべき第一作目、伝説の幕開けは1995年(日本は1996年)に上映された。

劇場公開された長編映画作品としては、初のフルCGアニメーション作品ということもあり、全世界でメガヒットを記録した第一作目を初めて目にしたのは親に買ってもらったビデオ版だった。

当時小学生にあがるかどうかという頃だった私はオモチャが感情豊かに動き回り、手に汗握るような大冒険の末、持ち主のアンディとの絆を深めるといったハートフルストーリーに見事にハートを射抜かれたことをまるで昨日のことのように覚えている。

 

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このシーンに「君はともだち」が流れるだけで涙腺が爆発する

 

そんな大ヒット映画の続編は1999年(日本では2000年)に公開され、実際に存在するオモチャが数多く登場したり、他作品のキャラクターもこっそりとカメオ出演していたりと観客の目をくぎ付けにし、とうとう2010年にシリーズ第三作目にして完結編となる『トイ・ストーリー3』が公開された。

トイ・ストーリー3は大きくなりオモチャで遊ぶことのなくなったアンディと、アンディのオモチャとして長らくを共にしてきたウッディを始めとするお馴染みの面々との絆を再確認する最高に綺麗な終わり方をした傑作、いや、神作だったし、劇場で観たときは溢れ出しそうな涙をこらえるのに必死だった。

第一作目の時点でアンディと同年代(アンディは7歳)だった私は、いわばアンディ、ウッディ、バズ、その他多くの仲間たち、つまりは『トイ・ストーリー』と共に成長してきたと言っても過言ではない。

そんな愛すべき作品に共通していたことは紆余曲折ありながらも仲間の大切さと人を思いやることの大事さを再確認させてくれ、心温まるハッピーエンドを迎えるということだった。観終わったあとにやさしい気持ちになれるからこそ、トイ・ストーリーが好きだった。

 

では、前作から約10年越しとなる最新作はどうだったかというと、結論から言えば全く心温まるハッピーエンドなんかじゃなかった。

仲間の大切さと誰かを思いやる気持ちを訴え続けたウッディは最初から最後まで情緒不安定で、最高の相棒であるバズはほとんど出番もないどころかウッディと全く心が通っていない。ウッディと苦楽をともにした仲間たちもどこか冷めていて、持ち主を失ったオモチャたちは世の中こんなもんだとどこか悟ったような言動を見せる。

なにより、持ち主であるボニーに魅力を全く感じないのが痛恨の極み。

3までの持ち主であるアンディは本当に楽しそうにオモチャと一緒になって遊んでいたし、心の底からみんなのことを愛していた。それこそウッディの腕が千切れたときや2に登場したウィジーというペンギンのオモチャの笛部分も自分で直したりするし、大きくなって遊ばなくなったあとも手放すその最後の最後までウッディたちとの別れを惜しんでいたのが印象深い。

 

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アンディは青年になってもウッディたちを愛していた

 

一方、それに対してボニーはただ単にオモチャで遊んでいるだけ。

お気に入りのオモチャこそあれど、あくまで遊び道具としてしか見ていない様子(帰宅後に躊躇なく放り投げるシーンなど)がちょくちょく描かれるたびに嫌悪感が増していったし、とてもじゃないが持ち主としての魅力はアンディには遠く及ばなかった。

それこそ3でアンディからオモチャたちを受け継いだときは本当にアンディの後継者として意思を継いでくれたんだと心から安心したし、これからもウッディたちを愛してくれそうだと期待していたのに、いざ4になったらまるで人が変わったかのようですこぶる幻滅した。

もちろん、アンディは自分の趣味で買ったオモチャだからそりゃ愛もあるだろうとか、そもそも男の子と女の子の趣味嗜好は違うだろうとか、そういうリアルな考え方もあるんだろうが、そもそもそういうリアリティはトイ・ストーリーにはこれっぽっちも求めてなくて、大人になったいまでもトイ・ストーリーには夢を見させてほしかった。

 

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ウッディの愛すべき仲間たち

 

だが残念ながらトイ・ストーリー4はそうではなかった。

自分の心(気持ち)に従い正直に生きること、それを実行する勇気、離れていても絆は変わらない、といったメッセージ性を出してきているのはよく分かったが、メッセージの見せ方、キャラクターたちの言動、その1つ1つが総じてトイ・ストーリーじゃなくてもよくね?としか思えないし、ウッディが投げられるわ、踏まれるわ、千切られるわメチャクチャされるたびに心がキュッとなったし、オモチャたちも終盤には一歩間違えたらホラーとも取られかねない暴徒と化すし、なんかもう……思い出せば思い出すほどに悲しさしかこみ上げてこない。

結局のところ本作を通して最終的になにを伝えたかったのか、これをトイ・ストーリーの新作として多くのファンに見せた製作陣の意図とは何か、そういったことがなに1つ理解できなかった。

いや、もしかすると「理解できなかった」のではなく無意識に「理解することを拒んだ」のかもしれない。物語が終盤に進むにつれ、ウッディの言動が徐々に不穏になるにつれ、自分の愛したあの『トイ・ストーリー』から本作を切り離したくなってしまっていたのかもしれない。

こうして第三者目線で冷静になって分析してみるとだいぶ感情論を振りかざしているようにも見えるが……でも、だって仕方ないでしょう?

だって、これがあの大好きだった『トイ・ストーリー』の、あの完璧に綺麗に終わった3の続編の、一緒に育ってきた思い入れの深い作品の成れの果てだなんて思いたくないし、そんなの絶対に認めたくないじゃないですか。

 

ウッディの悩みとオモチャとしてのアイデンティティ

ウッディというキャラについて一作目から共通しているのは、ウッディはとにかくアンディの1番のお気に入りで、たっぷりと愛情を注いでもらっていたし、そんなウッディ自身もアンディのために自分が出来ることは何かを常に考え続けていたこと。そしてそれと同じく常に『オモチャとしてのアイデンティティ』を探し続けていたということ。

例えば一作目では、バズにイタズラを仕掛けたことがキッカケで大冒険が始まるのだが、その背景にはアンディの部屋にやってきたバズが瞬く間にアンディのみならず仲間たちまでも夢中にさせたことに対する嫉妬と、自分のポジション(アンディの1番のお気に入りであり、オモチャたちのまとめ役)を奪われるという恐怖が描かれていた。

また、自分のことをスペースレンジャーだと信じて疑わないバズ・ライトイヤーに「おまえはオモチャなんだ」と声を荒げる場面では、おまえは所詮オモチャなんだ、現実を見ろというセリフに、どこかウッディ自身もアンディに遊ばれてこそ、オモチャとしての役割を全うしてこそ価値があると自分に言い聞かせているような印象を受けた。

このウッディの考え方は2以降も引き継がれていて、2では右肩の糸がほつれて綿がはみ出してしまったがゆえにアンディに泣く泣く部屋に置いて行かれることとなったウッディがアンディに嫌われたんじゃないかと取り乱し、落ち込み、終いにはアンディに捨てられる悪夢まで見るという、少し異常とも思えるアンディへの執着を見せた。

その一方で、ウッディがとあるコレクターにさらわれた先では、そこで出会ったジェシー、ブルズアイ、プロスペクターに自分に希少価値があることを教えられると、分かりやすく心が揺らいでいた。

しかし最終的には自分はアンディのオモチャであって、みんなのためのレアものじゃないと気付いたウッディはバズたちの助けを得て無事にアンディのもとへ帰ることになる。

このように2では「自分がアンディにとってどういう存在なのか」「オモチャとしての価値はどうなのか」を突き付けられたときにウッディの心が二転三転としており、仲間を見捨てないという信念のもとにどちらが最善なのかを考え抜いた末の結末だったことが分かる。

 

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もうこの表情からして「絶賛、心揺れ動き中です」って感じがするでしょう

 

また、2のテーマでもあった「子供はいずれ大人になり、おもちゃから去っていく」という現実と向き合うこととなる3でもウッディ以外のオモチャはアンディに必要とされなくなったことに対する恐怖や悲しみ、不安などと戦うことになるのだが、とあるアクシデントによりウッディは仲間たちと大冒険を繰り広げることになる。

そこでもやはりウッディは仲間を見捨てず、今回はアンディと自分の関係性だけでなく、仲間のみんなのオモチャとしての価値まで考え抜いた結果として、ボニーに引き取られる選択をした。

その瞬間のアンディの決意を決めた様子も感涙ものだったが、ボニーと一緒にまるで昔に戻ったかのようにオモチャで遊ぶアンディ青年と、幸せそうなオモチャたちの構図がもう思い出すだけでグッとくる…。

ということで、ウッディは最終的には大人になったアンディと別れを告げ、子どものためのオモチャとしての使命を全うするために仲間たちと行動を共にすることにした。ずっと苦悩し続けたウッディがようやく1つの踏ん切りをつけたという意味でも非常に綺麗な終わり方だった。

 

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このあとの「(ウッディは)大切な宝物なんだ、大事にしてくれる?」っていう言葉がもう…(涙)

 

がしかし、そんな綺麗な終わり方に水を差すような酷い展開だったのが今作で、ウッディに自分の居場所がここにはないことを早々に悟らせ、今までずっとウッディを支え続け(ほとんど)恋仲にあるボーに「ムキになっているのは子供のためじゃなく自分のためだ」と面と向かって言わせ、相棒であるバズとはどんどん心の距離ができていってそのたびにバズが悲しそうで、挙句の果てにウッディ自身ももう誰のために何のために走り回っているのか分からなくなっていき、最終的にウッディはあっさりと仲間を裏切るという誰も得しない胸糞エンド。

アンディも「ウッディは何があっても仲間を絶対に見捨てない、それがウッディのいいところだ」と語っていて、それがそのままウッディの信念になっていたのにそんな大事な設定をあっさり放棄するなんて。今まで大事に築き上げてきたものを全て本人たちにぶっ壊させるなんて。こんなつれぇことがあるかよ。ウッディに、ボーに、バズに、なに言わせてんだよ。なにやらせてんだよ。

オモチャにはオモチャの生き方があってもいいじゃない、オモチャの自由があってもいいじゃない、ってこと?だったらフォーキーとかいう新キャラなんて登場させないでもっとバズを始めとした仲間たちとの関係性を描いてくれよ。苦悩しながらも仲間のもとを去る過程をもっと濃密に描いてくれよ。すべてを理解したうえで気持ちよくウッディを送り出させてやれるような落とし込みをもっと時間を割いて仲間たちにしてやれよ。

無駄なシーンはやたらと挟み込んでくるのに、肝心のウッディが仲間のもとを去る根拠、そしてウッディが断腸の思いでその行動を選択するまでの心理描写が薄すぎて1~3の悩んで悩んで悩み抜いていたあのウッディは一体なんだったんだとしかならない。

はぁ……。非常に残念です。

 

トイ・ストーリー4を観て良かったこともある

とは言え、公開を楽しみにしていた人が仮にこの記事を読んだとして、そのうえで視聴意欲を失くしてしまったとしたら申し訳ないので、上記の批判と同じくらいの熱量をもってトイ・ストーリー4の良かったところもお伝えさせていただこうと思う。

 

まず1つ!!!『君はともだち』という名曲(いや、神曲)はずっとウッディの日本語吹き替えを務めていた唐沢寿明が歌っているもんだと思い込んでいたが、実は一作目からダイアモンド✡ユカイが歌っていたことを4の公開とともに知ったこと!!!!トイ・ストーリー4のCMを見ていなかったらずっと勘違いしたままだった!!!!!ありがとう!!!!!!!!!!

2つ!!!!日本語吹き替えは当初、ウッディに山寺宏一、バズに玄田哲章という配役で予定されていたということを知れたこと!!!!!!今やウッディは唐沢寿明じゃないとダメで、バズは所ジョージじゃないとダメな身体になってしまっているので、改めてこの2人が声をあててくれて良かったと感謝できた!!!!!!!!!ありがとう!!!!!!!!!!!!!

3つ!!!!!!やっぱり1~3の終わり方がいかに秀逸だったかということを再確認できたこと!!!!!!!!!!!!1でアンディたちがクリスマスプレゼントの箱を開けるのをウォッチしつつ新しいおもちゃがプレゼントされないかとヒヤヒヤしていたところに、中身が子犬(後のバスター)だったことにやれやれという表情で終わるウッディとバズが最高に尊い!!!!!!!!!!!!!! 2でもキャンプから帰ってきたアンディにメッセージボードに「おかえりアンディ」と書いてあってオモチャがみんなで出迎えるという幸せな終わり方に心がジュンジュワ~したし、3は何度でも言うが完結作として本当に素晴らしい綺麗な終わり方だった!!!!!!!!!!!!!!ありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

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あとついでに言うと映像の進化がすごかった!!!!このフワフワ感とか!!!!

 

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このツヤツヤ感とか!!!!ボーなんて初代の姿からメチャクチャ進化してますよ!!

 

はい。てな感じで。いかがでしょうか。熱量伝わりましたでしょうか。ビックリマークの多さが熱量を物語っていますよね。もうそういうことにしておいていただけますかね。

ということで、正直なところトイ・ストーリー4については「完全に蛇足」であると言わざるを得ないのだけど、ここはひとつ考え方を変えて1~3まではアンディ編として綺麗に終わり、4からは第2章、言うなればウッディの旅編として新たなスタートを切ったんだと自分に言い聞かせることにしました。

まぁ、実際のところ製作陣も大幅に変わってますしね。3が終わり4が公開されるまでになんやかんやでゴタゴタがあってトイストーリーの生みの親であるジョン・ラセター監督が制作から離れ、脚本家のラシダ・ジョーンズとウィル・マコーマックも降板し、結局、脚本のほとんどを変更して公開に踏み切ったという裏話もあるくらいなので。

あの終わり方からしてきっと5も考えているんでしょう。いかにも続編をやりそうな含みのある終わり方だったし。もっとも、この製作陣が作る続編には全く期待していませんが。

 

今作は賛否両論、特に往年のファンのなかでは意見が真っ二つに分かれているという評判をよく目にするけれど、実際に観に行ったことでその意味を嫌というほど実感することが出来ました。

この賛否両論の理由を、なぜ私がこれほどまでに文句を垂れているのかを、あなたも是非、自分の目で見て確かめてほしいと思います。それでは。